2012年3月12日月曜日

あれから1年

 「1年」「復興」「がれき」「教訓」「被災地」「震災」「原発」「仮設住宅」「生活再建」「追悼」「希望」「明日」「放射線」「決意」「防波堤」「避難者」「きずな」「祈り」「涙」「再出発」「命」「津波」「トモダチ」「奇跡」「生還」「巨大地震」「遺体」「身元不明」「犠牲者」「黙祷」「警戒区域」「除染」「放射能」「汚染」「鎮魂」「中間貯蔵施設」「遺族」「追悼」「祈り」「いのち」「水没」「濁流」「被災者」「被災地」「広域処理」「埋め立て」「最終処分」「放射性物質」「死者」「不明」「国民」「水素爆発」「メルトダウン」「想定外」「放射性セシウム」「がんばろう」「忘れない」「支援」「電力」「東電」「賠償」「忘れ形見」「悲しみ」「尊い命」「笑顔」「恩返し」・・・・・。

 2012年3月11日。 新聞から拾った「あれから1年」単語集。

 この1年で、なんとなく記憶に残った言葉は、東北のどこかの津波被災地で消防署だか消防団のオジサンがテレビで口にした「自己責任」だった。

 大津波が差し迫ってきたきたとき、避難の指示を待つよりも、自分のとっさの判断と気転で行動する方がいい場合がある、というような脈絡で話しているときに出てきた言葉だ。

 被災地の女性が話していた。 鉄道の踏切遮断機が地震の影響で自動的に降りてしまった。 このため避難しようとする人たちの車が踏切を渡れず行列になった。 背後から津波が来るというのに、彼らは交通規則を守っている。 それを見ていた彼女は「遮断機に突っ込め、津波が来てるぞ!」と運転者に叫んだ。 助かった人のエピソードである。

 「自己責任」とは、こういうことだ。 状況判断を自分でやって、取るべき行動を自分で決める。 だが、津波に飲み込まれようとしているのに交通法規を遵守しようとする日本人には苦手なことかもしれない。 日本人は、個人よりも集団の規範に従い、皆と同じことをするのが最も安全な生き方だと教え込まれて(飼い馴らされて?)きたからだ。

 放牧中のヒツジの群れのリーダーは、ヒツジより少し頭の良いヤギだという。 頭の悪いヒツジたちは常にヤギの後を追う。 だから、ヤギが誤まって川に落ちてもヒツジたちはヤギに従って川に飛び込む。 そして、皆溺れ死んでしまう。 中央アジア・キルギスの遊牧民が教えてくれた。

 消防のオジサンが口にした「自己責任」は、実は、日本人にはとてつもなく重い命題なのだ。 3月11日の新聞を隅から隅まで読んでみたけれど、「自己責任」という単語をみつけることはできなかった。

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