ずっと生死を伴にしてきたNIKON F2やPENTAX。 全部で5台、いずれも頑丈なボディ。 あちこちに擦り傷や凹みがあるが、今でもフィルムを装填すれば被写体をしっかり捕らえる。 とは言え、ディジタル時代に出番はなく、棺桶のような引き出しの中でずっと眠っていた。 邪魔だが愛着があり、別れる決心がつかなかったからだ。
久しぶりに、開かずの引き出しを開け、傷だらけで値が付かないのはわかっていたが、思い切って全部売り払った。 案の定、ただ同然の査定だったが、それでも店に引き取ってもらった。
「ただ同然」。
なんだか、カメラではなく、自分自身が歩んできた人生を査定されたような気がして落ち込んだ。
故買商は客にもっとやさしくあるべきだと思ったが、彼らとて、癌宣告をする医者に似た内面の苦悩につきまとわれているに違いない。
無論、良き故買商と良き医者の場合だが。
(画像は、Nikon倶楽部 プロフェッショナルカメラ図鑑 講談社MOOK 2001年発行より)
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