2014年9月20日土曜日

ハワイの楽しいお葬式

(ガーデン・パーティみたいなお葬式)

(故人の思い出写真がずらりと並ぶ)

 ハワイ最大の島、Big Islandハワイ島。 クルマにシーカヤックを積み、フロリダ生まれのハワイ娘の案内で、われわれは、島の西側、キャプテン・クックが死んだ場所として知られるケアラケクア湾に向かった。 イルカとシュノーケリングを楽しむためだ。

 群れて戯れるイルカたちに会えて、とても収穫の多いツアーだった。 だが、想定外の収穫もあった。 ハワイのお葬式に遭遇したことだ。

 昼ごろ、カヤックを海に降ろすために着いた小さな集落は、狭いいなか道が場違いな混みかたをしていた。 路上駐車でぎっしり埋まっていたのが原因だ。 地元の人に訊くと葬式をやっているという。 そのときは、「あっそう」と思っただけだったが、午後4時ごろ戻ってきたときも、葬式はまだ続いていた。
 
 日本で、こんなに長い葬式は知らない。 たまたま、通りかかったポリネシア系の、日本人の基準からすれば、かなり太っているが、ハワイでは普通の女性に訊ねてみたら、「私の叔母の葬式をやっている。 誰にでもオープンだから行ってごらん、歓迎しますよ」と、とても快活な返事。

 なんだか戸惑うばかり。 叔母といえば、ごく近い親類なのに、この女性は派手な花柄のムームーを着て、式場にも行かず、道路をうろうろして、見知らぬ外国人と雑談をする。 それに誰でも歓迎する葬式って、いったい何だ。

 とにかく、「すぐそこ」という式場へ向かって歩いた。 すると、人通りがだんだん多くなる。 それに、エレキギターの派手な演奏の音も聞こえてくる。 

 やがて、広い公園のような場所に出た。 そこでは、たくさんの人が食事をしたり、ビールを飲みながら談笑していた。 それは、大規模なオープンエアー・パーティだった。 だが、これがハワイの葬式だったのだ。 すぐそばで、子どもたちはボール遊びに興じている。
 
 われわれの葬式でお馴染みの黒い喪服、うつむき黙った人々、哀惜の涙、そういった全てが醸し出す悲しみの雰囲気が、微塵もない。 その代り、ほのぼのとした暖かい空気が流れていた。 そこは、故人との楽しかった思い出を語り合う場なのだ。

 日本人には、逆転的発想の葬式。 自分の葬式もこんなのがいいな、と思った。 もう少し、ハワイ式葬儀について知りたくなってウェブで検索したら、以下のような説明が出てきた。 日本人向け葬儀社の広告かもしれないが、この通りなら悪くない。 ただし、これを日本でやってみたい。

 (なお、あとで理解したことだが、最初にお葬式を教えてくれた女性は「私の叔母の・・」と言ったが、どうやらハワイの伝統的コミュニティでは、近所の母親世代の女性はみんな叔母、男性は叔父、同世代は兄弟姉妹になるらしい。 つまり、コミュニティ=家族なのだ。)

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 『ハワイでは、アメリカの中でも特別なお葬式が執り行われています。 ハワイでは、お葬式は、生きてきたことを記念する意味を持つセレモニーです。 悲しみを表すだけのものではなくて、故人の新たな旅立ちをお祝いしたり、 故人を想い、共に泣いたり笑ったりする儀式です。

 お葬式では、唄やフラダンス、スライド、ビデオショーなどが行われます。  式は、どんちゃん騒ぎではなく、静かに進行されますが、 色々な趣向を凝らして死者を讃え、生涯を記念する行事になります。

 参列する人々は、日本のように黒いフォーマルを着る人はほとんどいません。  葬式で黒い服を着るという習慣はありません。強いて言えば、男性はアロハシャツ、女性はムームー(ハワイでの女性の伝統的な正装、ワンピース)が多いようです。 色は、黄色でも赤色でも何でもOKで、カラフルな服装を着て参列します。

 ハワイでは、陸から3マイル以上離れた場所、かつ特別な禁止域以外では散骨(海洋自然葬)が州法で認められています。 数多くのカヌーで海にこぎだして散骨したり、船上から散骨したり、セスナにて上空より散骨することができます。

自然から生まれて自然に還るという散骨は、ハワイの先住民族も遺骨を海や土に還すという風習もあったことから、ハワイではごく自然に行われてきた葬法でした。 遺灰を撒いて、良い香りのする色とりどりのレイを海へ捧げ、また会いましょう!という意味の「A HUI HOU(ア フイ ホウ)」と明るく陽気に言い、故人はたくさんの人に見送られます。』

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