2015年5月19日火曜日
旅のすすめ
海外旅行は日本人にとって、ごく一般的な休暇の過し方になっている。 とくに、正月、ゴールデン・ウィーク、お盆という時期は、日本人には比較的まとまった休日がとれるので、多くの人が海外へでかけ、旅行社が設定する旅行代金は普段の2倍くらいになる。
とはいえ、旅行期間は長くて、せいぜい1週間、疲れきって帰国するだけの”弾丸ツアー”も当たり前だ。
これを旅行と言うべきか。 観光バスに乗って、名所旧跡を大急ぎで回り、旅行社が半ば強制的に立ち寄らせる土産物屋でガラクタを買わされて帰ってくる。 訪れた国の人々との接触も会話もない。
自由人生活のおかげで、最近スリランカをのんびりと行き当たりばったりで旅行できたので、JTBが募集しているスリランカ旅行を例に挙げてみよう。
料金は、5日間で129,000円から219,000円。 催行期間は2015年6月6日から9月28日。 最も高い219,000円は、もちらん8月のお盆休みのころだ。
そもそも、たった5日間でスリランカを旅して日本に帰ってこられるのか、という疑問が湧く。
日程を見ると案の定、初日と最終日は飛行機に乗っているだけで、5日間とはいえ、スリランカ滞在は3日間だけ。 ホテルに泊まるのは、たった2泊。
成田空港を夕方飛び立ち、15時間もかけて首都コロンボに現地時間午前4時半に着く。 そのままバス旅行が始まり、夕刻ホテルに到着するまでに6時間は揺られる。 この間、炎天下で名所旧跡にたどり着くための山登りがある。 翌日は再び6時間のバス。 コロンボのホテルに泊まって日程はほぼ終了。 翌日は正午がチェックアウト時間でホテルを追い出され、夕方の飛行機を待つだけ。 わずかな"自由時間"だが、果たして出歩くエネルギーが残っているかどうか。
こんな旅行なら、しない方がいい。
われわれのスリランカ旅行は、これと比べれば、なんと恵まれていたことか。
全日程13日、バンコクで往復3日、スリランカで10日。 かかった費用は、航空券、ホテル、現地交通費、食事、酒、その他全部合わせて、1人20万円。 この額は、JTBのお盆ツアーなら、たった5日間、2泊5日の弾丸ツアーだ。バンコクでは屋台のタイ料理を楽しみ、スリランカでは各地で安ホテルに泊まり、安食堂で食事し、エアコンなしのオンボロ路線バスで移動した。 時間に追われないのんびりした旅は心を洗ってくれる。 おかげで、いろいろな土地でいろいろな人と会話ができた。 これこそが旅というものだ。
旅行とはいえない旅行、バナナの叩き売りのようなパッケージ、参加者がみじめな気分になるような疲労困憊弾丸ツアー、こんなものに参加していると知力が低下する。 海外にあこがれるのはいいけれど、旅行社に金儲けをさせるだけのこんな旅行は卒業しよう。
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