(富良野スキー場のゴンドラに乗っていると、聞こえてくるのは中国語や英語ばかりということがよくある) |
北海道・富良野での12月のスキー初滑りは、すでに10数年続いている。 この間、スキー場には、ふたつの変化があった。
ひとつは、かつて体験したマイナス20度という凄い寒さに出会うことがなくなり、次第に気温がやさしくなったのはいいが、夢の中で空中遊泳しているような気分になれる素晴らしいパウダースノウにめぐり会うチャンスもほとんどなくなったことだ。 地球温暖化がスキー場を蝕んでいる。
もうひとつは、外国人が増えたことだ。 10年前も東南アジアや台湾から来たスキーヤーの姿を見ることはあった。 だが数は少なかった。 だから、ときたま日本語を理解できない人たちを見ると助けてあげることもあった。
富良野スキー場というのは、北の峰と富良野の2ゾーンがある。 富良野ゾーンは西武グループが牛耳っていて、食事は高くて不味いプリンスホテル内のレストランを除けば、ラーメン食堂しかない。 だから、ここはいつも混んでいる。
食券を自動販売機で買って、カウンターで従業員に渡し、ラーメンができると食券の番号が呼ばれてドンブリを受け取りにいく。 ところが、番号は日本語で呼ばれるので、外国人には理解できない。 こういう場面で出くわしたときは、いつも助けてやったものだ。
だが、今回(2015年12月)行ってみると、食堂のおばちゃんがカタカナを読むようなたどたどしさではあったが、番号を英語で呼んでいた。 当然だろう。 食堂内を見渡すと、外国人が半分近くを占めていただろうか。
なんとなくわかった国籍は、中国、台湾、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、オーストラリア・・・。 ヨーロッパ人、アメリカ人もいたと思う。
そこは、どこに行っても日本人しかいなかった前世紀の日本ではない。 おそらく、ラーメン食堂の中は、近未来の日本の光景なのだ。
東京に住んでいても、外国人と接触しないで生活することは不可能に近くなった。 居酒屋のウェイトレスは日本語の上手な中国女性だし、多摩川の河川敷をジョギングしていて、インド人たちがクリケットに興じているのを見かけても驚かなくなった。
2002年に、ホノルル・マラソンの自転車版センチュリー・ライドに参加した。 日本航空がスポンサーのせいか、日本人参加者数はアメリカ人より多かったかもしれない。 途中の休憩所で、アメリカ人参加者がカメラを出して、誰かに自分を撮ってもらおうとしたが日本人ばかりで、英語がわかる人を探して、うろうろしていた。
アメリカ人がアメリカで母国語をしゃべる人間を探すのに苦労する。 富良野で、日本人がそんな状況に遇っても、もはやおかしくない。
日本の人口減と外国人の増加。 日本中がスキー場のラーメン食堂になるのも、そんな先のことではないかもしれない。
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