2016年1月20日水曜日
ISISはイスラムか?
これまでインドネシア、イラン、エジプト、トルコという4つのイスラム国に住んできた。 いろいろなムスリムと友だちになったり、酒を飲んだり、神について語り合ったり、けんかもしてきた。 日本だろうとどこの国だろうと、いいヤツも悪いヤツもいる。 ムスリムだって同じだ。
生活感覚で接しながら観察してきたイスラム教と、強烈なテロで世界に不安を広げている「イスラム国(ISIS)」の残虐さがどうしても結びつかない。 イスラム教の専門家の中には、あの残虐さはイスラム教の根源に潜んでいたものだという主張があるかもしれない。 それが正しい主張であるかどうかは、わからない。 だが、イスラム世界で十数年生活して、一緒に過ごしたムスリムたちとISISの行動は明らかに異なる。 身近にいたムスリムたちには優しさがあった。 他者に対するいたわりの心があった。 だから、無神論者の日本人ともつきあってくれたのだと思う。
ISISは本当にイスラム教を信じる集団なのだろうか。 この疑問がどうしても消えない。
ISISに直接言及したものではないが、同じ疑問を持つ専門家の存在を、野崎歓というフランス文学者(?)が読売新聞に書いたコラムで紹介していた(2016年1月18日文化面「シャルリー・エブド事件から1年」)。
昨年11月13日金曜日に起きたパリ連続多発テロのあとに、ル・モンド紙に出た記事のようだ。
「国際的イスラム学者オリヴィエ・ロワはル・モンド紙上で、”文明の衝突”説をきっぱりと退け、これはイスラムの過激化ではなく、過激派のイスラム化なのだとし、一部の若者たちのニヒリズムと暴力衝動に問題の根源を見た」
ここで指摘されている過激派と、ヨーロッパからシリアに渡ってISISに加わった若者は共通基盤を持っているに違いない。 ISISは、まさに過激派のイスラム化なのかもしれない。
もちろん、ISISメンバーの多数はアラブ諸国出身のアラブ人であろうが、こういう新たな要素を加えないと、彼らの行動を理解できない。
それでは、ロワの言う「過激派のイスラム化」「若者たちのニヒリズムと暴力衝動」を生んだものは何か。 おそらく、地球規模で拡大する格差社会の闇を覘かねばなるまい。
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