2009年10月2日金曜日

今度はパダンで地震!!


 南太平洋サモアに続いて、9月30日、今度はインドネシア・スマトラ島のパダンで大地震が起きた。まるで地球が壊れてしまったみたいだ。

 パダンと言えば、文化人類学的にはミナンカバウ人の伝統的母系社会が知られている。そして、何よりも「パダン料理」が有名だ。インドネシア料理を代表する一つで、アメリカ大陸より広い5000キロ以上に及ぶ群島国家のどこに行っても食べられる。村の小さな食堂から外国人観光客向けの高級レストランまで様々だが、味の違いは料金の違いほどないと思う。

 客が座るや否や、テーブルにところ狭しと料理の載った小皿が並べられ、さらには、ピラミッド状に積み重ねられる。肉や魚など香辛料を効かせて調理したものがほとんど。客の好みなど訊かない。まるで押し売りのように目の前に、有無を言わせず出す。

 だが、心配することはない。客は食べた分だけ払えばいいのだ。日本の回転すしのシステムに似ているかもしれない。いや、もっと合理的だ。例えば、1枚の小皿の魚2尾のうち1尾だけ取れば料金は1尾分だけ。回転すし屋で、皿に載った2貫のにぎりのうち1貫だけ取るというわけにはいかない。

 パダンで地震と聞いたとき、真っ先に思い浮かんだイメージは、積み重ねられたパダン料理の沢山の小皿が飛び散る光景だった。

 ミナンカバウの人々は、インドネシアで特異な存在かもしれない。人口の60%を占める支配民族ジャワ人の文化は、白黒を明確にしない。曖昧さを大切にする。イエス、ノーをはっきり表明せず、相手の気持を読む、以心伝心、阿吽の呼吸といったものを大切にする。日本文化に共通するもののようにも思える。

 これに対し、ミナンカバウ人は歯切れがいい。物事を明瞭に表現する。反骨精神も強い。外国人には話していて理解しやすい人々だ。インドネシアの作家、ジャーナリスト、詩人にミナンカバウ人が多いのは、なんとなく納得できる。ようするに、歯ごたえがあって、面白いヤツが多いのだ。

 今すぐ彼らを助けに行きたい、などと偽善的なことは言わない。彼らとパダン料理を食べながら、バカ話をしたくなった。

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