頑迷に民主化を拒否し、世界から孤立している軍政国家ミャンマー(ビルマ)が、突然、急激な変化の兆しをみせている。 民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーとの会話を深め、民意に反して建設していた中国向け電力供給のためのダム建設を中断し、さらに、10月12日には政治犯を含む6359人の釈放を開始した。 果たして、本気で民主化に着手したのか。 あまりに唐突な動きゆえに、世界は戸惑っている。
12日に釈放された政治犯の中で象徴的人物は、ビルマで絶大な人気のあるコメディアン、ザガナーだった。 ザガナーは2008年、ビルマを襲ったサイクロンの甚大な被害への支援活動をしていたときに逮捕され、獄中生活を送っていた。
ザガナーの釈放は日本でも大きく報道された。 だが、釈放の事実以上のことは伝えられていない。 実は、彼は釈放されるや否や、コメディアンの本領を発揮し、自分の体験をしゃべりまくっているのだ。 その発言を通じて、われわれ外部世界の人間は、ビルマ軍政のなんたるか、呆れるほどの時代錯誤ぶりを、多少なりとも理解することができる。 以下は、ザガナー発言の一部である。
「ビルマを襲ったサイクロンのビデオを検閲に出さなかったことを罪に問われた。 サイクロンの被害が拡大している真っ最中だ。 『ヘイ、嵐よ、ちょっと待ってくれ。 ビデオを検閲に出してくるから』なんて、言えるわけないだろ」
「罪状には、インターネットの使用もある。 今や誰でもインターネットを使っている。 しかし、私に判決を下した裁判官はインターネットのことなんか、まるでわかっていなかった。 彼が、反政府側の人物とどこで会話(チャット)をしたのか訊いたので、Meebo(ビルマ語で台所、ウエブサイト名でもある)と答えた。 すると、彼は私がふざけていると思って怒りだした。 私は、Meeboのなんたるかを説明しなければならなかった。 コンピューターの使い方を知らない裁判官が、エレクトロニクス条例インターネット不正使用の罪で私に懲役刑を下した」
「裁判では、検事がe-mailアドレスを質問したんで、私が、thura61@gmail.comと答えたら、なんと、その検事は、『質問したのはe-mailで、gmailではない !』と怒鳴りだした」
(ニューデリーを拠点とするビルマ反軍政ウエブサイト<MIZZIMA>より)
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