2015年5月23日土曜日

増殖するスマホ人間たち


(スリランカ・ネゴンボのレストランでみかけたヨーロッパ人と中国人)

 もしかしたら、スマホは人類にとって、空気や水のように生きていくのに欠くことのできないものになりつつあるのかもしれない。

 今年(2015年)4月から5月にかけて、2週間ほどタイとスリランカを旅行した。 どこに行っても、地元の人ばかりでなく、外国人観光客もスマホを手放さない姿を見た。 中国人もヨーロッパ人もアラブ人も。 

 レストランで仲間とビールを飲んでいるときも、会話することなくスマホに見入っている。 野生動物を見に行ったサファリのジープの中で、中国人の若者は動物を観察するでなく、ずっと俯いてスマホをいじっていた。 どうやら、世界中に、この光景は蔓延しているようだ。

 人類の進化はすすみ、スマホなしで生きられるのは旧人類になっている。

囲い込まれた多摩川BBQギャングたち


 多摩川の川崎側、二子橋下の河川敷は週末ともなると、バーベキューの若者で溢れている。 彼らは、川崎市が囲い込みに成功した多摩川河川敷のギャングたちだ。 放っておけば何をするかわからない。

 以前は、バーベキューをやったあと散らかし放題、料理に使った鉄板なども持ち帰るのが面倒なのか、近所の道端に放り出していった。 ラジカセからの大音響も。 彼らが去ったあとの河原は、一面にゴミが散乱していた。

 川崎市がとった対策は、バーベキューの全面禁止ではなく、場所を限定して一人当たり500円の使用量徴収だった。 道具の有料レンタルも始めた。 これによって、野放しだったギャングどもを管理し、囲い込みに成功した。

 それにしても、ここに限らず、河川敷にやって来る若者たちは、なぜ傍若無人になるのだろうか。

 花火で騒ぎ、コンビニで買ってきた食い物、飲み物の残骸を撒き散らして消える。 河川敷という場所は、人を無法地帯にいると感じさせる何かがあるに違いない。 だから、昔から河原乞食なんて言葉があるし、ホームレスたちが永住する。 人も殺される。

2015年5月19日火曜日

旅のすすめ


 海外旅行は日本人にとって、ごく一般的な休暇の過し方になっている。 とくに、正月、ゴールデン・ウィーク、お盆という時期は、日本人には比較的まとまった休日がとれるので、多くの人が海外へでかけ、旅行社が設定する旅行代金は普段の2倍くらいになる。

 とはいえ、旅行期間は長くて、せいぜい1週間、疲れきって帰国するだけの”弾丸ツアー”も当たり前だ。

 これを旅行と言うべきか。 観光バスに乗って、名所旧跡を大急ぎで回り、旅行社が半ば強制的に立ち寄らせる土産物屋でガラクタを買わされて帰ってくる。 訪れた国の人々との接触も会話もない。

 自由人生活のおかげで、最近スリランカをのんびりと行き当たりばったりで旅行できたので、JTBが募集しているスリランカ旅行を例に挙げてみよう。

 料金は、5日間で129,000円から219,000円。 催行期間は2015年6月6日から9月28日。 最も高い219,000円は、もちらん8月のお盆休みのころだ。

 そもそも、たった5日間でスリランカを旅して日本に帰ってこられるのか、という疑問が湧く。

 日程を見ると案の定、初日と最終日は飛行機に乗っているだけで、5日間とはいえ、スリランカ滞在は3日間だけ。 ホテルに泊まるのは、たった2泊。

 成田空港を夕方飛び立ち、15時間もかけて首都コロンボに現地時間午前4時半に着く。 そのままバス旅行が始まり、夕刻ホテルに到着するまでに6時間は揺られる。 この間、炎天下で名所旧跡にたどり着くための山登りがある。 翌日は再び6時間のバス。 コロンボのホテルに泊まって日程はほぼ終了。 翌日は正午がチェックアウト時間でホテルを追い出され、夕方の飛行機を待つだけ。 わずかな"自由時間"だが、果たして出歩くエネルギーが残っているかどうか。

 こんな旅行なら、しない方がいい。 

 われわれのスリランカ旅行は、これと比べれば、なんと恵まれていたことか。

 全日程13日、バンコクで往復3日、スリランカで10日。 かかった費用は、航空券、ホテル、現地交通費、食事、酒、その他全部合わせて、1人20万円。 この額は、JTBのお盆ツアーなら、たった5日間、2泊5日の弾丸ツアーだ。バンコクでは屋台のタイ料理を楽しみ、スリランカでは各地で安ホテルに泊まり、安食堂で食事し、エアコンなしのオンボロ路線バスで移動した。 時間に追われないのんびりした旅は心を洗ってくれる。 おかげで、いろいろな土地でいろいろな人と会話ができた。 これこそが旅というものだ。
 
 旅行とはいえない旅行、バナナの叩き売りのようなパッケージ、参加者がみじめな気分になるような疲労困憊弾丸ツアー、こんなものに参加していると知力が低下する。 海外にあこがれるのはいいけれど、旅行社に金儲けをさせるだけのこんな旅行は卒業しよう。