2010年12月9日木曜日

灼熱のカタールW杯をどう楽しむか


 ペルシャ湾岸諸国に住む日本企業の駐在員たちは、真夏になると太ってしまう。 気温は40度以上になり湿度も高い。 文字通りのサウナ状態になる。 試しに昼下がりのアブダビでジョギングをやってみたことがある。 頭の芯に痺れを感じる熱さ(暑さ)だった。 駐在員たちは、そんなキチガイじみたことはやらない。 室内から外へ、ほとんど出ない。 当然、運動不足になり、しかも、暇つぶしと欲求不満解消のために酒を飲む。 まさに、太り方のお手本だ。

 2022年サッカーW杯の開催地がカタールに決まった。 日本も立候補したが、スポーツ・ジャーナリズムが表向きの報道ではなく腹の中の本音で予想したとおり、簡単に落選した。 それにしても、あんなクソ暑いところでサッカーの試合が本当にできるのだろうか。 

 カタールが発表した計画によれば、スタジアムは太陽熱発電を利用する冷房を備え、外部の気温が40度でも27度に保つことができるという。 豊富なオイル・マネーで屋内スキー場を作ったり、沙漠に雨を降らせてしまう湾岸諸国のことだから、冷房付きスタジアム建設など難しくはないだろう。 そもそもカタール人はおそらく、金を出すだけで、技術や設計は欧米人、建設労働者はパキスタンやバングラデシュからの出稼ぎ、外国人客のもてなしはフィリピン人のホスピタリティに頼るということになるだろう。

 だが、このことは、カタール人が札束で外国人の面をひっぱたいてW杯を実現しようとしているということを必ずしも意味しない。 彼らは金持ちだが、素朴な人々なのだ。 数世代前までは石油もなく、アラブ世界の片隅に住む貧しい遊牧民や漁師だったのだ。

 カタール開催が決まった直後、NHKのカメラに向かって、町の普通の中年カタール人が叫んでいた。

 「今どんな気持ちかって? 泣けちゃうし、笑えるし、全部だよ!」

 身振り手振りで歓喜を精一杯表現する男の姿は感動ものだった。 

 こうして、中東・アラブ・イスラム世界初のW杯が動き出した。 世界的な経済権益と複雑怪奇な国際政治がちょこちょこと首を突っ込むであろうサッカー+α のエキサイティングなゲームの幕開けだ。

0 件のコメント: