2009年5月20日水曜日

沖縄の女


 日本各地で、スーパーマーケットやコンビニを覘いてみると、日本人の生活がいかに画一化しているかを実感できる。全国津々浦々に浸透したチェーン店では、大量生産の同じ食料品が売られ、買われているからだ。

 都会人の農業へのあこがれを台無しにする光景もそこにはある。栽培種類を限定し、モノカルチャー化した農業従事者たちは、農地という名の生産工場へ耕運機を運転して出勤する途中、セブン・イレブンに立ち寄って、1個100円のオニギリをいくつか昼飯用に買っていく。彼らの食生活の貧しさは、東京でアパート暮らしの独身男と大差ない。

 かつて、彼らが百姓と呼ばれていた時代、米一粒にも汗と努力が込められていると感謝した。食べるものはすべて自らの手で作るものだった。

 見知らぬ土地の郷土料理などと言っても、もはや、とんでもない驚き、例えば西アジアのどこかの国の食堂で、ヒツジの脳みそがでんと出てくるような衝撃に日本で巡り合うことはありえないだろう。

 画一化、均質化を国家の基盤にして発展してきた日本では、キュウリやトマトと同じように人間の規格統一も進められてきた。扱いやすいように調教された人間に、同じような餌(B級グルメと称するラーメン狂には、それが御馳走に見える)を与える。そこは巨大なブロイラー国家である。

 それでも、いまだに地域格差が存在しているのは不思議なことで、喜ぶべきか、悲しむべきか。

 例えば、日本人の寿命(平均余命)を市町村別の統計(平成17年厚生労働省)で見ると、男の寿命が最も短いのは、愛隣地区のスラムで有名な大阪市西成区の73.1歳。これに対して、女の寿命が最も長いのは、沖縄県・北中城村の89.3歳。ほとんど90歳にならんとしている。

 全国平均では女が男より7年程度長生きするが、北中城村の女と西成区の男では16年以上の差になる。同じ民族とは思えない。両者の結婚はあまり勧められないだろう。

 そもそも、北中城村ばかりでなく、沖縄の女は統計好きの中央官庁役人にとって、厄介な存在だ。都道府県別の肥満人口(BMI25%以上)で、沖縄は、男が46.7%、女が39.4%で、いずれも全国一、デブ2冠を達成している。一般に、肥満と長寿は矛盾するとされる。だが、沖縄の女は平均余命でも86.88歳と、肥満のくせにトップの座を確保している(男は25位の78.64歳)。

 こういった数字は、日本中のブロイラーには同じような餌が与えられていても、多少の違いがあり、品種によって、環境によって、飼育の結果が異なってくることを示す。

 規格統一という国家主義に抵抗する地下活動にも、多少の希望が見えてくるではないか

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