2013年11月1日金曜日

お控えなすって、”みずほ”でござんす


 みずほ銀行が暴力団へ融資していたことが大きなニュースになった。 お堅いと世間で思われている銀行員だが、実際は普通か、それ以上に生臭いみたいだ。 なんだか銀行員を身近に感じられるようになった。 そんなわけで、後学のために、みずほ騒ぎの記事をいくつかかき集めてみた。
 
 それにしても、こうした記事を読むと、日本資本主義は、安倍政権が自讃するほど盤石ではないような気もしてくる。


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<2013年10月14日J-CASTニュース>
   金融庁の業務改善命令によって暴力団員らへの融資が明るみとなった問題で、みずほ銀行の佐藤康博頭取自身も「報告を受けていた」という事実が明らかになった。 銀行が組織ぐるみで隠ぺいしようとしたとさえ思えるお粗末さだ。
  過去、みずほ銀行は不祥事のたびに「旧3行」の覇権争いがその原因と指摘されてきたが、その体質は治っていなかったらしい。
  2013年10月8日の記者会見で、暴力団員ら反社会的勢力に230件、2億円超を融資していたことを、西堀利元頭取(旧富士銀行出身)も現在の佐藤康博頭取(旧日本興業銀行出身)も知っていたことがわかったが、その融資を銀行で改めて審査するよう指示したのが西堀元頭取だったこともわかった。
   問題融資の情報を把握していながら、なぜ2年間も放置するようなことになったのか――。考えられるのが、自動車ローンの提携先であり、契約前の審査にあたったオリエントコーポレーションの存在だ。
   オリコは、みずほグループの一員ではあるが旧第一勧業銀行の出身者が社長に座る。そもそも、問題融資のきっかけはオリコにある。小口の提携ローンなので、銀行に当事者意識が欠如していたのは間違いなく、西堀元頭取ら、当時の経営陣は次回から契約を承諾しないようオリコに求めただけで、取引停止などの対応を取らずに先送りした。
   加えて、銀行内では「旧第一勧銀系が起こした問題なのだから、その関係者が解決しろ」といった、責任のなすり合いが起こったり、あるいは事態を把握した旧第一勧銀出身者が穏便に事態を収集しようと画策したりしたことも、旧3行の「覇権争い」が背後にあったと仮定すれば、容易に推察できる。
   そうこうしているうちに、西堀元頭取は2011年3月に引き起こした2度目の大規模なシステム障害で引責辞任。後任の頭取には塚本隆史氏(現会長、旧第一勧銀出身)が就いたが結果的に事態を先送りしていたようだ。
   経営統合したみずほ銀行は、不祥事が相次いだ。2002年4月、大規模なシステム障害が発生。08年7月には写真週刊誌が斎藤宏頭取(当時、みずほコーポレート銀行)の女性スキャンダルを報じた。また、11年3月には東日本大震災の義援金の振り込みが原因で、再び大規模システム障害を起こしてしまった。
   不祥事のたびに、旧3行の派閥争いが背景にあるといわれてきた。
   元銀行員で経営コンサルタントの大関暁夫氏は、今回の問題融資について、「経営幹部が臭いものにフタすらせず、見て見ぬふりをした」とみている。
   そのうえで、前出の大関暁夫氏は「経営幹部に、銀行の組織や出身銀行の立場を守るため、また自らのポジションを守るための『保身』が働いたのではないか」という。
   組織の中で声をあげれば、処理を任され、責任を負わされ、「面倒なことに巻き込まれる」といった意識が働く。役員というポジションゆえ、そんなリスクを率先して負いたくないのかもしれない。
   また、外資家金融機関での勤務経験のある国際経済アナリストの小田切尚登氏は、「問題の融資案件は、1件あたりは数百万円という小口のもの。元来、メガバンクは一流企業と取引する、エリート意識の高い行員ばかりです。小口の融資といって軽く見ていたところがあるのではないでしょうか」と指摘する。
   一般に融資案件は取引を停止するにしても、すぐに返済してもらえないなど対応が厄介だ。「このくらい(少額)なら、誰かが処理してくれる」「問題さえ起らなければ、いずれ取引(返済)が終わる」と思っていたフシもある。
   そもそも、2億円の小口融資を金融庁が検査することが稀だ。内部かどうかは不明だが、「通報者がいた」との見方は少なくなく、これも「旧3行」の内部抗争がもとになっているといった憶測も飛んでいる。
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<2013年10月18日ロイター通信>
 3行統合の弊害を指摘されてきたみずほフィナンシャルグループの体質を抜本的に変えようとしてきた佐藤康博社長が、暴力団向け融資の放置問題で窮地に立っている。
 傘下の2銀行を合併し、1バンク体制を構築した強力なリーダーシップで業績回復を図ろうとしたが、足元で展開されていた不祥事を未然に防ぐガバナンスの強さは行内に浸透していなかったかたちだ。金融庁が強く経営責任を追及する事態になれば、佐藤社長が変えようとしていた古い体質に「逆戻り」するリスクをはらんでいる。
<道義的責任から、経営責任へ>
「満月は欠け始めると、後は早い」――。みずほFGのある役員OBは、平安時代に権力を握り、わが世の春を謳歌(おうか)した藤原道長が詠んだ和歌になぞらえて、佐藤社長の現状を指摘した。
 今年7月にはグループ傘下のみずほ銀行とみずほコーポレート銀行の合併を実現させ、政府の産業競争力会議には唯一の金融界代表として参加し、存在感を発揮していた。3行統合の後遺症で、他行に比べコスト圧縮の対応が手ぬるいと指摘され、「3メガバンク中の4位」と揶揄(やゆ)されてきた業績も、足元では回復基調を示していた。「みずほの中興の祖として足場を固めていたはずだった。こんなことで足元をすくわれるとは」と、この有力OBは残念がる。
 暴力団への融資を放置してきた問題は、今月8日になって急展開する。この日、佐藤社長は問題の発覚後はじめて記者会見に臨み、これまで同グループが説明してきた事実関係を一転させた。
 佐藤社長は、取締役会に反社勢力との取り引きが報告され、自分自身も「知りうる立場にいた」ことを明らかにした。旧日本興業銀行出身で、国際業務や大企業取引を得意としてきたが、リテール業務に潜む反社会的勢力に対するリスク認識に抜かりがあったとの批判も出ている。
 この発言内容は「それまでの道義的責任から、自らに経営責任を生じかねさせない事態となった」(ライバル行役員)と、金融業界では注目を集めた。
<佐藤社長のリーダーシップ>
 佐藤社長が、持ち株会社のみずほFG社長に就任したのは2011年。東日本大震災直後の大規模システムトラブルに伴う人事刷新で、旧みずほコーポレート銀行頭取から、持株会社社長を兼務し、経営トップの座に座ることになった。「弁舌巧みで、発想も豊か。金融庁としても佐藤氏を推した」と、同庁関係者は話す。
 さらに傘下2行を合併させる1バンク体制を敷き、自らがCEOとして1トップに収まる体制も確立した。
 銀行は通常、企画部がお膳立てし、社内の関係者に根回して新たな方針を打ち立てるボトムアップ方式による意思決定が多い。だが、佐藤社長は自ら旗を振る「トップダウン経営」が信条。「側近も重用せず、自ら方針を立案して決めることもあり、企画部が後から慌てふためくこともある」(同行関係者)という。
 母体である旧日本興業銀行、旧富士銀行、旧第一勧業銀行の確執が金融界の「常識」と批判されてきたみずほの旧弊。旧3行のバランス人事の払しょくにも腐心し、今年4月の役員人事では副社長、副頭取7人を一気に退任させるなど、大幅な刷新にも踏み込んだ。
 「旧興銀出身の佐藤社長に配慮して、旧興銀出身者を大目に配分した人事案を蹴られた」(同行関係者)というエピソードもある。旧富士、旧一勧出身者の中にも「スタンドプレイが過ぎるなど短所がないわけじゃないが、佐藤社長を支えるほかにみずほが浮上する道はない」と、佐藤社長への求心力が高まる局面になっていた。
<見えない「ポスト佐藤」>
 だが、虚偽の報告をして、誤った前提に立った行政処分を金融庁に出させることになったみずほに対し、同庁が経営責任を強く求めてくる可能性も否定できない。佐藤社長が就任以来の窮地に立っていることは間違いない。
 一方、佐藤社長が進めてきたみずほの改革路線は、未だに「道半ば」だ。佐藤社長が何らかの経営責任を負うことになれば、みずほの経営方針に大きな影響が出かねない。
 「三井住友フィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グループは、現トップの後任がなんとなく下馬評に上っている。しかし、みずほはまだ見えない」――。金融当局のある幹部は、こう語る。
 1トップ体制の確立は、ポスト佐藤体制が整っていない現状の裏返しでもある。今回の事件を契機に佐藤社長がグループ内での求心力を失えば、「後任体制をめぐる3行のさや当てが、また浮上しかねない」(みずほ役員)と危惧する声もある。
 (布施 太郎 編集;田巻 一彦)
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<2013年10月29日 毎日新聞朝刊>
 みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のみずほ銀行が暴力団員向け融資を放置した問題で、みずほがまとめた改善計画は、現体制の維持を前提にした、抜本改革からはほど遠いものだ。みずほ前身の第一勧業、富士、日本興業出身者の「旧3行意識」も背景にあるとみられており、取引先などからは処分の内容が「手ぬるい」との批判も出ている。信頼回復の道のりは依然として険しい。【工藤昭久、山口知、浅野翔太郎】
 「(トップ辞任を)思ったことはございません」。28日の記者会見でこう強調した佐藤氏は旧行意識について、「心の奥底までは分からないが、旧行意識が入り込む余地は相当払拭(ふっしょく)されている」と否定した。
 ただ、第三者委員会の中込秀樹弁護士は同日の記者会見で、頭取間の引き継ぎの不十分さに言及し、問題の一因として反社会的取引の管理を行う部門と他の部署とのコミュニケーション不足を批判した。佐藤氏も「縦割り意識が原因の一つにあったと思う。その払拭や企業理念の見直しを進める」と認めざるをえなかった。
 みずほは、旧3行の統合後も、持ち株会社のみずほFG(2003年1月までみずほホールディングス)と、傘下の旧みずほ銀、旧みずほコーポレート銀の幹部を旧3行で分け合うたすき掛け人事を続けてきた。問題融資発覚時のみずほ銀頭取は、旧富士銀出身の西堀利氏、後任の頭取は旧第一勧銀出身の塚本隆史氏、佐藤氏は旧興銀出身だ。「オリコの問題は勧銀案件とも呼ばれ、他の2行が口を挟みづらい。問題の背景に旧行意識がある」(大手行幹部)との見方は根強い。
 みずほFGは今年7月、中小企業・個人向けの旧みずほ銀と、大企業向けの旧みずほコーポレート銀を合併させて新みずほ銀行を誕生させた。FG社長の佐藤氏が頭取を兼務し、ようやく旧行のたすき掛け人事から決別したはずだった。
 旧行意識が噴出したかのような出来事があった。佐藤氏が今月8日の会見で「西堀氏が(10年当時)この問題を認識していたとしっかり確認できた」と説明し、自分は「知りうる立場にいたが、詳しく説明を受けた記憶はなく認識するに至らなかった」と釈明。これに対し西堀氏が「対応はした。説明があろうとなかろうと私は徹底して中身を見ていた」と反論したのだ。みずほは、同じ合併行である他のメガバンクに比べ、「旧3行の力関係が拮抗(きっこう)していたために勢力争いや、意思疎通の悪さはなかなか改善されない」(別の大手行幹部)との指摘もある。
 ただ、みずほ内部からは「ワンバンクを誕生させた佐藤氏の手腕は高い」(みずほFG幹部)との声は多く、進退問題を阻止したいというムードは強かった。7月に大幅な人事刷新を行ったため、「次期トップの候補が思い浮かばない」(金融庁幹部)という背景もある。
 また、佐藤氏の処分は報酬を半年間ゼロにするものだが、13年3月期の有価証券報告書によると、佐藤氏の報酬総額は1億1600万円。半年間無報酬でも5000万円以上を受け取る可能性が高い。佐藤氏は「給与水準は業界他社と比べて突出しておらず、今回の責任を考慮しても妥当な水準。批判があることは認識している」と説明したが、庶民感覚とかけ離れていると言えそうだ。
 一方、塚本氏はみずほ銀会長を辞任するものの、持ち株会社のみずほFG会長は続投。「責任を取ったのかどうか分かりにくい」(みずほ銀との取引のある東京都内の中小企業役員)との批判も出ている。
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<2013年3月17日 週刊ダイヤモンド>
  みずほフィナンシャルグループ(FG)の佐藤康博社長が、満を持して発表した新たな中期経営計画は、銀行と信託、証券を「あたかも一つの組織として運営する」(佐藤社長)という、経営の一体感を前面に押し出した内容だった。
  グループ内連携の強化に向けて、これまで弱かったFGの機能を大幅に強化。6人の副社長を、人事、財務、システムなどのグループ長や大企業、個人、国際などのユニット長に据え、それぞれが銀行、信託、証券すべてを横断して管理しグリップを利かせる仕組みに改めている。
 「Oneみずほ」という中計のテーマが示す通り、縦割りだった組織体系に横串を刺すことによって、ガバナンス(統治)の強化と意思決定の迅速化につなげていくのが狙いだ。
 その意気込みは、言葉だけでなく役員人事にも鮮明に表れた。
 佐藤社長が「旧3行の背番号を徹底的にはずす」と宣言したように、出身行に関係なく、1976~79年入行組の大半が退任し、80年組を中心に副社長に昇格させた。システム障害で引責辞任した西堀利・元みずほ銀行頭取の後を受けてFG副社長に就いた80年組の西澤順一氏が退任するなど、随所に「佐藤色」が滲む人事だった。
 人選に当たっては、タワーズワトソンなど外部のコンサルティング会社を活用し、上司や部下、同僚にヒアリングをかける360度評価を実施。評価を参考に、佐藤社長と社外取締役の計4人で構成する指名委員会で作業を進めたが、当初は「身内に甘い評価が散見され、扱いに困るものもあった」と、取締役の1人は明かす。
 それでも、各役員の「はっきりとした将来の可能性が出てきた」(佐藤社長)ことで、今春以降の新体制が固まったという。
 監督当局がかねて強く求めていた、グループのガバナンス強化に向け前進した一方で、中計が組織変更など「どうしても内向きの内容が中心になってしまった」(FG幹部)面は否めない。
 記者会見の席上でも、海外での買収・提携戦略については、さらっと触れただけ。むしろ、組織や3年後に控える次期システムの開発状況といった説明に時間をかけざるを得なかった。
 佐藤社長が「まだ旗を降ろしたわけではない」と話す、銀行と信託の統合や、本質的な解決策が見いだせていないみずほ証券の機能強化などにも、ある程度踏み込んだ中計を当初は模索していたとみられるが、あえて課題として残している。
 そこには、課題の解決や新たな組織の運営を軌道に乗せられるかどうかは、「ポスト佐藤」次第だ、という思いが込められているのかもしれない。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子、中村正毅)
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<2013年7月3日Business Journal>
 みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のみずほ銀行とみずほコーポレート銀行が合併し、新しい「みずほ銀行」の営業が7月1日にスタートした。この合併にともなうシステム移行作業で、6月29日午前0時から、7月1日午前8時までの56時間、全国の現金自動出入機(ATM)が一斉に停止した。
 日本経済新聞の7月1日朝刊によると、今回のシステム移行はコーポ銀の店名をみずほ銀に合わせる作業が中心で、銀行システムの中核には手を加えておらず、「できて当然」の内容だったという。このように比較的容易な作業内容だったにもかかわらず、みずほは通常の2倍のテストを重ね、4月には障害発生に備えた訓練も実施。さらに、29、30日には朝晩2回の会議で移行状況を確認し、佐藤康博社長は会社に泊まり込み、異例の厳戒態勢でシステムの移行に臨んだ。
 同行が、慎重を重ねたシステム移行の背景には、過去二度の大規模なシステム障害がある。5月26日付の朝日新聞のまとめによると、第一勧業銀行と富士銀行、日本興業銀行の三行を統合、みずほ銀とコーポ銀に再編した2002年4月、システム統合がうまくいかず、大規模な障害を起こした。さらに、東日本大震災後の2011年3月には、義援金振り込みが集中したのをきっかけに、振り込みの遅れや店舗でのサービス停止、ATMの取引停止などが発生。収束までに10日間を要し、金融庁から業務改善命令を出される結果となった。三度目の失敗を犯すようなことがあれば、「みずほはなくなるかもしれない」という緊張感が漂う中、今回のシステム移行が行われたようだ。
 そして、度重なるシステム障害の裏には、各メディアで繰り返し指摘されてきた、旧三行の派閥争いがあると見られる。朝日新聞は旧三行の派閥意識を払しょくできず、人材の融合が進まなかったことがシステム障害の一因だと分析している。
 みずほの人事は02年の発足からこれまで、みずほFGとみずほ銀、コーポ銀のトップを旧三行出身者が分け合う「三頭立て」だった。そのため、グループ間の意思決定が曖昧になり、古いシステムが温存された結果、発足時のトラブルの経験が生かされず、二度目のシステム障害につながった可能性が指摘されている。
 しかし、二度のトラブルで第一勧銀と富士銀出身のトップが相次いで失脚し、11年6月からは興銀出身の佐藤氏がみずほFGとコーポ銀頭取を兼務。さらに、今回の合併でみずほFGと新・みずほ銀頭取を兼務することになり、佐藤氏がみずほグループを統治する仕組みが整った。
 さらに、佐藤氏は今年2月に中期経営計画を発表すると同時に、旧三行の派閥意識払しょくを目指した新人事を発表している。6人の副社長を各分野のトップに据え、それぞれが銀行・信託・証券すべてを横断して管理する仕組みに改めた。縦割りだった組織体系に横串を刺すことで、ガバナンスの強化と意思決定の迅速化につなげていく――ダイヤモンドオンラインは3月7日配信の記事で、この人事を佐藤社長の「旧三行の背番号を徹底的にはずす」と宣言した意気込みが鮮明に現れたものだと評価している。
 しかし、現場からは旧弊からの脱却に懐疑的な声も出ているようだ。転職情報サイト・キャリコネは3月11日配信の記事で、みずほFG関係者の「新銀行では中年以降は旧三行の争い、若手はみずほ銀とコーポ銀で争いの構図が見えている」とのコメントを掲載。今回の合併によって、派閥争いが収束するどころか、拡大する可能性もあるというのだ。
 新・みずほ銀が7月1日に誕生し、サービス再開からこれまでトラブルは発生していないが、今回の移行作業はシステムの一部にすぎず、当面はみずほ銀とコーポ銀の二行のシステムをつないだ状態で業務が続けられる。7月1日配信のロイターの記事によると、本格的なシステム統合が行われるのは16年3月になる見込みだという。
 新たなスタートを切ったみずほ銀行は、新体制のもと派閥の勃興を抑え、メガバンクに相応しい強固なガバナンスを築くことができるのか。ネット上で「ATMの停止を知らず、ボーナス後なのにお金が下ろせなかった」という小さな騒動が起こっている裏で、金融庁の目が光っている。 (文=blueprint)

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