東京で生まれ育って、サンタクロースがトナカイに曳かれた橇に乗り、雪をけたててやって来るというホワイト・クリスマスを経験したことは一度もない。 12月の東京では、からっ風は吹いても雪が降るのは稀だからだ。 同様に、織姫と彦星が天の川でめぐり会う七夕の夜は、いつも梅雨の雨雲に覆われていて、天空の星のドラマも見たことがない。
東京の子どもたちは、ホワイト・クリスマスと星空の七夕という二つの見果てぬ夢を追い求めているうちに老け込み、夢がどんどん遠ざかる。
今年の七夕も雨の一日だった。沖縄の宮古島には瞬間最大風速75mという巨大台風が近付き、ほんの10日前のんびりと過ごしていた慶良間諸島も暴風雨圏内に入った。 梅雨前線も刺激されて、東京の空は織姫と彦星が流す’催涙雨’で暗くなった(七夕に降る雨を催涙雨と呼ぶとか)。
そうだ、気晴らしに、冷凍室に入れてある鰻の蒲焼を食おう。 鰻の値段がバカ高くなってから、もう何年も蒲焼を口にしていなかった。 1週間ほど前、大森の「肉のハナマサ」で1尾900円という近ごろでは超安値の蒲焼をみつけたので買っておいたのだ。 もちろん中国製。
小さなフライパンに冷凍蒲焼を置いて日本酒をぶっかけ、蓋をして汁気が無くなる直前まで火にかける。 丼ぶりに盛った玄米と麦で炊いたご飯に載せ、たれと山椒をかける。
旨かった。 もうすぐ土用の丑。
2014年の真夏もやってくる。
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