2011年3月15日火曜日

なぜトイレット・ペーパーの買いだめ??


 戦場ジャーナリストは、どんな事態に直面しても、「なんとかなるさ」と楽観的でなければならない。 だが、今朝、近所のスーパーに買い物に行って、頭に血が上ってしまった。 好物の納豆が売り場の棚から消えてしまっていたからだ。

 納豆ばかりではない。 カップ麺、牛乳、米、スパゲティ、パン、肉…。 トイレット・ペーパーや生理用品、乾電池、カセット・コンロ用のボンベ、色々なものが消えていた。

 地震・津波は、確実に首都東京の生活に影響を与えている。 それにしても、買いだめ騒ぎは行き過ぎではないか。

 スーパーでなにも買う気が起きなくなったので、気晴らしに散歩をした。 そして、なにげなく道端に目をやると、ツクシが芽を出していた。 そうだ、スーパーなんかで買い物をしないで、ツクシを食おう。 腹の足しにはならないが、醤油と砂糖で炒めるとビールにすごく合う。

 100本ほど摘んで、面倒くさいヘタ取りをしているうちに、ふと思った。 「なぜ、トイレット・ペーパーの買いだめが起きているのだろう」と。 

 今どき、日本で「温水肛門洗浄便器」(TOTOの「ウォッシュレット」、INAXの「シャワートイレ」)のない家など皆無に近いのではないか。

 洗浄便器が普及するずっと前に住んでいたインドネシアの人たちに習ったおかげで、用便のあとは水で洗うだけで、拭いたり乾かしたりせず、そのままパンツをはくのが習慣になっていた。 だから、洗浄便器を使い始めても温風乾燥のボタンを押したこともなかったし、トイレット・ペーパーを使ったこともなかった。 多少パンツが湿っても、すぐに乾くから気にならない。

 だが、どうやら日本人の多くは、洗浄便器とトイレット・ペーパーの両方を使う二重手間をかけているらしい。 買いだめに走るということは、そういうことだ。

 洗浄して、なおかつ紙で拭く必要があるのだろうか。 もしかして、オレはずっと洗浄だけでは十分きれいにならないまま、クソをつけて長いこと生活していたのだろうか。 これは由々しき問題だ。

 すぐにツクシのヘタ取りを中断し、トイレに行って、INAXの便器に貼ってあるステッカーに記してあるフリーダイアルサービスの番号をメモして電話してみた。

 応対は非常に丁寧で親切だった。

 こちらの質問は、①洗浄だけで紙を使わない場合、衛生上問題はあるか②洗浄のあと乾かす必要はあるか―の2点。 

 その回答は、簡潔かつ実に明快だった。

 ①衛生上、まったく問題ない。

 ②乾燥するかどうかは、個人の好みで、乾かさなくてもまったく構わない。

 嬉しいではないか。 トイレット・ペーパーを使う必要などないのだ。 オレはずっと正しい洗浄便器の使い方をしていたのだ。

 だが、そうだとすると、この買いだめ騒ぎは何だ。 潔癖症の日本人が無意味な資源無駄使いをしている現実が、巨大地震によって暴露されたのではないか。

 洗浄便器は、日本のトイレ文化に革命を起こした。 だが、TOTOもINAXも企業責任を十分に果たしていない。 トイレット・ペーパーは無用だと啓発活動をしなければならない。 この国家的危機はまたとない機会ではないか。

 (まあ、考えてみれば、水道も止まる大惨事を想定すれば、トイレット・ペーパーはやはり必要かな? いや、そんな事態になれば、ケツの汚れなんかどうでもいい?)

   

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