田園調布と蒲田は、同じ東京の大田区でありながら、雰囲気が驚くほど違う。一方は気取った無表情さが支配し、他方は欲望をむき出しにした人間の動物的本性が猥雑さを撒き散らしている。同じことばを話す同じ人種の街とは、にわかには信じがたい。
だが、この二つの街は、人間の二面性、昼と夜を象徴しているのだ。昼は令嬢、夜は娼婦。何年も前に渋谷の道玄坂あたりで殺された東電OLのように。
人間は化ける。化けるのは忍者。大田区のシンボルマークが「忍者ハットリくん」をモチーフにしてデザインされたのは、担当者が「人間とは何か」という哲学的探究にもがき苦しんだ産物なのである。
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