2010年5月13日木曜日

南の国のマラソン大会


 スキューバダイビングが目的で南太平洋パラオに行って、到着早々、地元の新聞を雑貨屋で買った。 外国旅行をするとき、その国の様子をいち早く知るには、新聞と市場をながめるのが一番だ。


 今回は、パラオの赤十字協会が開催するwalkathon(ウォーカソン)の記事が、まず目にとまった。 walkathonとは、本来、寄付集めのためのウォーキングやジョギングの大会を意味するそうだが、「参加者全員にTシャツ」というのに気を引かれた。


 開催は5月8日、俺の滞在中じゃないか。 5キロと10キロの2部門。 午前5時登録開始、6時スタートは、ちょっと早すぎるが、5キロ歩いてTシャツ1枚もらえるのは悪くない。というわけで参加することにした。


 しかし、当日、案の定、寝坊した。 スタート地点のナショナル・ジムにたどり着いたときは5時55分。 スタート・ラインのうしろには、すでに数百人の参加者が集まり、合図を待っていた。 とはいえ、登録受付のテーブルには、まだ人がいた。 あわてて手続きを終えたときには、参加者の集団は動き出していた。


 先頭を行く連中は、walkathonというわりには早い。突っ走っていく。 まあ、勝手に行くがいい。 こっちは楽してTシャツをせしめるのが狙いだ。 が、最後尾でも歩いているのは、ほとんどいない。 なんだか、つられるように、いっしょに走り出してしまった。 息の上がらない程度の超スローペースだが。


 横を行くパラオ人が話しかけてくる。 「日本人か? パラオでもNHKが見られるから、野球放送を楽しみにしているんだ」、「私の祖父は日本人でナカムラというんだ。 そう、前のパラオ大統領と同じ名前だ。 ナカムラは頭がいいんだ」、 「普段は、自分で木を削って作った銛で魚を獲っている」


 走りながらだから、雑多な人々との雑多な会話となる。 「オレは米軍に入ってテキサスにいたことがある」と、コニシキみたいな大男。 おかげで、退屈はしない。 サンダルを履いてペタペタ走る小柄な女の子が追い越していく。


 走っているうちに、ずいぶん前に、インドネシアの首都ジャカルタで初めて市民マラソン大会に出たときのことを思い出した。 やはり早朝で距離も5キロ程度だったと思う。 市中心部のモナス広場近くから市を南北に貫くタムリン通りを南へ行って折り返すコースだった。 いつもは車があふれている道路が市民ランナーに開放されるのだ。


 「マラソン大会」と名が付くので、初めてでもあり、それなりの緊張感を持って参加した。 パラオと違い人口大国インドネシアでは参加者も多い。 スタート時の人ごみが多少まばらになって、まわりを見て驚いた。 自転車に乗っているのも、ローラースケートを履いているのもいるではないか。 なんだ、ずるいじゃないか!! そのうち、ランナーの中からは、折り返し点前で中央分離帯を乗り越えてUターンするのが続出した。 まじめに走っていて、ひどくバカバカしくなってきた。


 だが同時に、これが市民マラソンなんだと知り、面白さと魅力を知った。


 トルコのイスタンブール。 ヨーロッパとアジアの境界とされるボスポラス海峡に架かる自動車専用の吊り橋を走る「ユーラシア・マラソン」も魅力的だった。 大会名が雄大だし、橋の上からヨーロッパとアジアを同時に見渡すのもすごい。 参加賞のTシャツはゴールしないともらえないはずだったのに、途中で脱落して帰ってしまった友人も手に入れていた。 今にして思うと、あれはなぜ可能だったのだろう。


 パラオのwalkathonは、5キロを40分で無事完走した。 ゴールで引換券をもらい、赤、黄、緑のTシャツの中からMサイズの赤を選び、ホテルに帰った。


 早速、Tシャツを広げてみる。 胸に「13th Annual Walkathon May 8, 2010」、右袖にスポンサーの「Bank of Hawaii」のマーク。 生地も悪くないし、かっこいい。


 だが、ふと見ると「$3.95」の値札まで付いていた。 いいなあ、南の国の人は、日本人みたいに細かいことに神経を尖らせないで。

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