2017年9月2日土曜日

こんなニュースでなぜ大騒ぎ?



 NHKニュース

逃走36時間 ベトナム人の男を逮捕 立ち回り先を捜査

群馬県大泉町で警察官から職務質問を受けたベトナム人の男が暴れて逃走していた事件で、警察は、逃走から36時間たった1日夜遅く男を公務執行妨害の疑いで逮捕しました。男は埼玉県内で知人と待ち合わせたところを確保されたということで、警察は、逃走中の立ち回り先を調べています。調べに対し「オーバーステイだったので怖くなって逃げた。かんだことは覚えていない」と容疑を一部否認しているということです。
逮捕されたのは、ベトナム国籍で住所不定の無職、グエン・バン・ハイ容疑者(31)で、1日午後11時40分ごろ大泉警察署に入りました。

警察によりますと、ハイ容疑者は、先月31日午前11時すぎ、群馬県大泉町の駐車場で車の中にいたところ、警察官から職務質問を受けた際、突然逃げ出し、さらに近くの住宅の敷地内で追いついた警察官の腕にかみついて逃走したとして、公務執行妨害の疑いが持たれています。

ハイ容疑者は、36時間余り逃走していましたが、1日午後11時すぎ隣接する埼玉県熊谷市のコンビニエンスストアで知人と待ち合わせたところを警察に確保されたということです。

その際、左手に手錠はかけられたままだったということです。調べに対し、「無免許でオーバーステイだったので、怖くなって逃げた。抵抗したことは認めるが、かんだことは覚えていない」と容疑を一部否認しているということです。

捜査関係者によりますと、ハイ容疑者は、2年前に不法滞在の疑いで警察に摘発されたあと、難民認定を申請して身柄の拘束を一時的に解かれ、ことしに入って所在不明になっていました。警察は、埼玉県内も含め、逃走中の立ち回り先を調べています。

コンビニ店員「これで一安心」

埼玉県熊谷市のコンビニエンスストアの店員は、「店の駐車場で5人ほどの男性が車を取り囲んでいたので最初、ケンカかと思いました。そのうちの1人が私服の警察官だと説明し、店の住所や電話番号が記されたレシートをもらいにきたため、事件のことを思い出しました。車の中をのぞいてみると、後部座席には両脇をはさまれたベトナム人のような男が座っていました。暴れることはなく正面を向いていましたが、目が泳いでいておびえている様子でした」と話しました。
そのうえで「隣の大泉町で起きた事件だと聞いていたので、『まさかここで』と思って怖かったですが、これで一安心です」と話していました。

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 NHKをはじめテレビは、このベトナム人が逃げた9月1日から、大きなニュースとして報じていた。 報じ方は、凶悪な殺人鬼が逃亡したかのように、現場の”緊張ぶり” を伝えた。 だが、男が逃げた直後には、日本での不法滞在と無免許運転がばれるのが怖くて、咄嗟にとった行動らしいとわかったようだ。 つまり、普通の気の弱い男の間抜けな逃亡にすぎなかった。 

 それでは、この大騒ぎはいったい何だったのか。 ときどき事件報道を妙に詳しく報じるスポーツ新聞によると、この近辺では2年前に警察署から逃亡したペルー人が6人を殺害する事件が起きていた。 地元の人がこの事件を思い起こしたのであれば、緊張が走ったのは頷ける。 だが、テレビはこんなことはまったく伝えていなかった。 ベトナム人が逃げて行方がわからないというだけだった。 

 つまり、ベトナム人が逃げたというのがニュースのようだ。 同じ間抜けでも、日本人だったらニュースにならなかったのかもしれない。 それでは、どうしてベトナム人だとニュースなのか。 これもわからない。 今どき、外国人の不法滞在など珍しくもない。 そもそも、この問題は外国人の労働をきびしく制限する日本政府の態度が作り出している。 ベトナム人に限らず、摘発される外国人の方が可哀そうだ。 

 だが、テレビは外国人の労働問題に焦点を当てたわけでもない。 結局、なにもわからないが、当然のように大きく報じていたのは、それが当然の報道とみなしたからであろう。 だとすれば、何が当然なのか。 

 そうは思いたくないが、外国人に対する違和感、恐怖感みたいなものが日本人の意識の根底にあって、それが報道に反映したのかもしれない。 日本ばかりではない。 ヨーロッパでも米国でも偏狭な愛国主義が外国人排斥の風潮と絡み合っている。 厭な雰囲気だ。 実は、内心、あのベトナム人が長期間にわたって逃げまくってくれたら、応援したいと思った。 日本の網の目の監視網を潜り抜ける逃亡者。 ロマンを感じるではないか。 だが、残念ながら、あの男は、ベトナム戦争を戦い、生き抜いたベトコンのDNAを引き継いだわけではなかった。    

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