2年ほど前、膝痛でジョギングも山歩きもテニスもできなかったとき、スポーツ用品店で、膝痛を防止するんだか緩和するとかいうパッドを見た。 ゴムより柔らかくて弾力性のある素材。 膝への衝撃を弱めるためにシューズ内側底のかかと部分に貼り付けて使う。 それをみつけて買わなかったが、ふーん、そうか、膝痛はかかとへの衝撃で起きるんだと知った。
それから暫くして、犬が飼い主に引かれて小走りに走っているのを見て、あれっ、犬はかかとを地面に着けていない、と気付いた。 犬の後ろ足のことだ。 つまり、犬が着地しているのは、人間の足の前部で、後ろにとんがっている関節部分が人間のかかとに相当する。
犬みたいに、かかとを着けないで走れば膝は痛くならないに違いない。 勘に基づいた非科学的推測。 早速試してみると、わりと調子いい。 ただ、かかと着地は体軸より、やや前で接地するけれど、かかとを着けないで走るときは、体軸の真下あたりで接地するのがコツだ。 陸上競技短距離の走り方に似ているかもしれない。
そうなると、衝撃を吸収するための大きなかかとが付いたジョギング・シューズはいらない。 足にフィットして、底が平らな靴はどこかにないか。 偶然みつけたのは、土木作業や建築労働の衣類や道具を売っている店。 最近あちこちで目立つようになってきた店だ。 入り口に軍手なんかが山積みになっている。
地下足袋も悪くなさそうにみえた。 だが、そのそばに、たった800円で足袋靴というのが置いてあった。 足の親指部分が分かれていない地下足袋と思えばいい。 なんと言っても、高級ジョギング・シューズの10分の1以下という値段が気に入った。 問題は、冬のジョギングでは寒さが足にしみ込むこと。
自分の発見を内心で自慢していたら、それからまもなく、暇つぶしに点けたテレビのドキュメンタリー番組でアメリカ人が裸足でジョギングをしていた。 barefoot running というそうだ。 太古からの人間の走り方で、裸足ではかかとを着けないのだという。 ハーバード大学のLiebermanとかいう教授が、膝への衝撃が少なく、これが自然で理にかなった走り方だと、オレが発見したと思っていた走り方について、とくとくと説明しているではないか。
教授の名前をメモして、早速ウェブで検索したら、たちどころに出てきた。
堅苦しい論文だが、関心のある方は英語の勉強がてらにどうぞ。 その気のない方は、You Tube を。
世界中で、人間、考えることは同じようなものなのだろう。 まあ、科学とは無縁の自分の方向性の正しさが、ハーバード大学の先生に科学的に立証されたとも言える。
以上は、1年以上前の話。 そして、今月号の「Tarzan」(2/23 2012 No.597)(マガジンハウス)の特集は「ランニングドリル」で、「はだしラン ブーム到来?」などという記事を掲載しているではないか。
コンビニで立ち読みせずに、550円を払って買って読んでみると、記事の内容は、基本的にはLiebermanの論文を下敷きにしていた。
いやー、実に軽薄に嬉しいもんだ!!! 日本の雑誌が「ブーム到来」などと言うずっと前に、時代を先取りしていたという優越感。 もちろん、日本の雑誌が世界の潮流から外れ、情報収集が貧困すぎることは十分承知の上だ。 それでも嬉しいから軽薄なのだ。
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